スタートアップ企業や中小企業が利用できる補助金・助成金を紹介

企業が資金調達をする手段の一つに、国や自治体が実施している補助金・助成金があります。融資と違って返済の義務がないので、長期的に見ても安心して借りられます。

補助金・助成金の中には、スタートアップ企業や中小企業を対象としたものがいくつかあります。大企業に比べると融資を受けづらいため、積極的に活用したいところです。

本記事ではスタートアップ企業や中小企業が利用できる補助金・助成金を紹介いたします。資金調達にお悩みの事業者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

【政府主導】スタートアップ企業・中小企業が活用できる主な補助金・助成金

補助金や助成金は政府や自治体、民間団体など、さまざまな組織が実施しています。ここからは、政府が主導で実施している主要な補助金・助成金制度を紹介します。

  • ものづくり補助金
  • IT導入補助金
  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金

順番に見ていきましょう。

ものづくり・商業・サービス補助金

サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金が「ものづくり・商業・サービス補助金」制度です。

15次締切における補助金額は通常枠で750~1250万円。補助率は事業者の規模によって異なり、中小企業で1/2、小規模事業者で2/3です。

また、別途定められている条件を満たせば補助金額が上乗せされ、最大で2250万円の補助を受けられます。

令和5年度の応募は14次と15次の2回ですが、過去数年間の応募実績を見てみると、年に4回は開催されています。そのため、今後追加で募集される可能性があるので、ぜひチェックしてみてください。

【参考】ものづくり補助金総合サイト

IT導入補助金

ITツールを導入する際に活用できる補助金制度が「IT導入補助金」です。ソフトウェアやクラウド利用料など、生産性の向上につながるITシステムを導入した事業者に支給されます。

基本的にはITシステムが補助対象となりますが、デジタル化基盤導入枠を適用すれば、ハードウェアの導入でも利用できます。パソコン本体も対象となっているので、これを機に追加導入するのもいいでしょう。

補助金額は審査条件の厳しいB類型の場合で、最大450万円。IT化を課題としている事業者は、ぜひ検討してみてください。

【関連記事】IT導入補助金とは?概要と対象事業者、申請方法を解説

【参考】IT導入補助金2023

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者のキャリアアップを支援する制度が「キャリアアップ助成金」です。非正規雇用労働者を雇っている事業者が対象となっており、企業内でキャリアアップする際に金銭的負担が生じた場合にサポートしてくれます。

サポートの内容に応じて、以下のコースに分けられています。

正社員化支援

正社員化コース

障害者正社員化コース

処遇改善支援

賃金規定等改定コース

賃金規定等共通化コース

賞与・退職金制度導入コース

短時間労働者労働時間延長コース

補助金額は正社員化コースの場合の支給額は、有期雇用から正社員へ転換すれば一人当たり57万円です。

【参考】キャリアアップ助成金|厚生労働省

人材開発支援助成金

専門的な知識や技能を労働者に習得させるために、職業訓練等を計画に沿って実施した際に助成される制度が「人材開発支援助成金」です。訓練内容やサポート体制によって、7つのコースが設けられています。

  • 人材育成支援コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障害者職業能力開発コース
  • 人への投資促進コース
  • 事業展開等リスキリング支援コース

労働者をスキルアップさせ、生産性を向上させたい事業主の方は、チェックしてみてください。

【参考】人材開発支援助成金|厚生労働省

【地域別】自治体が実施しているスタートアップ企業・中小企業向けの助成金

助成金や補助金は政府だけでなく、各自治体も実施しています。ここからは、中小企業・スタートアップ企業を対象とした、自治体が実施している補助金・助成金制度を主要都市に絞って見ていきましょう。

東京都|創業助成金

東京都では都内で創業を予定している人や、創業5年未満の事業主を対象に、100~300万円を助成する制度を実施しています。創業5年未満の事業主は、以下いずれかの要件を満たしている必要があります。

  • TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者
  • 東京都制度融資(創業)利用者
  • 都内の公的創業支援施設入居者

助成の対象となる経費は、以下のように幅広く認められています。

  • 賃借料
  • 広告費
  • 器具備品購入費
  • 産業財産権出願・導入費
  • 専門家指導費
  • 従業員人件費

とくに都内で事業を立ち上げるとなると、ネックになるのが人件費。他地域よりも高めに設定されているので、受給要件を満たしている方はチェックしておきましょう。

【参考】創業助成金(東京都中小企業振興公社)|東京都創業NET

大阪府|大阪起業家グローイングアップ補助金

大阪府内で起業をしようとする人は、府が実施している「大阪起業家グローイングアップ補助金」を利用しましょう。受給条件がビジネスプランコンテストの優秀提案者であることから、ハードルはやや高いですが、最大100万円の補助を受けられます。

また、申請時点で未創業の場合は交付決定日の翌日から1年以内に創業することも、条件として決められています。

【参考】大阪起業家グローイングアップ補助金の概要|大阪府

愛知県|あいちスタートアップ創業支援事業費補助金

愛知県内で創業を考えている人は「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金」をチェックしてみてください。対象となる事業者は、以下のとおりです。

  • 令和5年度中に愛知県内で個人事業の開業を行う
  • 会社設立の登記を行って代表者になる人
  • 県が指定した産業分野での事業を事業承継または第二創業により実施している事業者

事業分野によっては事業承継や第二創業も対象となります。補助金額の上限は200万円、補助率は2分の1以内となっています。

【参考】「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金(起業支援金)」を実施します|愛知県

北海道|地域課題解決型起業支援事業に係る交付対象事業者

道内で創業するのであれば「地域課題解決型起業支援事業に係る交付対象事業者」に応募してみるといいでしょう。対象となる事業内容が「デジタル技術を活用した地域の課題解決に資するもの」と言う条件はありますが、以下のあらゆる経費の一部を補助してくれます。

  • 人件費
  • 店舗等借料・設備費
  • 原材料費
  • 知的財産権等関連経費
  • 外注費・委託費
  • 旅費
  • マーケティング調査費
  • 広報費 など

とくに北海道は広大な土地である都合上、事業内容によっては旅費が大きくかさむことが考えられます。創業時の資金調達手段のひとつとして、把握しておきましょう。

【参考】令和5年度地域課題解決型起業支援事業に係る交付対象事業者の募集開始について|北海道

スタートアップ企業や中小企業が補助金・助成金を活用するメリット

スタートアップ企業や中小企業が補助金・助成金を活用するメリットは、以下のとおりです。

  • 返済の義務がない
  • 条件を満たせば個人事業主でも受給できる
  • 人事労務管理の体制の見直しにつながる
  • 人材を確保できる

事業立ち上げの段階では資金調達の手段が限られるので、資金難に陥りやすくなるでしょう。

資金を上手く調達できれば事業展開が容易になり、拡大までの時間を短縮できます。制度によっては条件が厳しいですが、少しでも事業を進めやすくするために、ぜひチェックしておきましょう。

まとめ

中小企業やスタートアップ企業が受けられる補助金・助成金は、政府や自治体をはじめとした組織が実施しています。本記事で紹介した以外にも、中小企業やスタートアップ企業が使える補助金・助成金制度は数多くあります。

補助金・助成金を受けられれば資金面の問題が解決され、円滑に事業を進められるようになるでしょう。事業を展開する予定の自治体で受けられる補助金・助成金がないか、ぜひご自身でも探してみてください。

なお、補助金・助成金以外にも中小企業やスタートアップ企業が資金調達する方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

【関連記事】スタートアップ企業・ベンチャー企業に資金調達が重要な理由とは?具体的な方法を6つ解説!