スタートアップ企業・ベンチャー企業に資金調達が重要な理由とは?具体的な方法を6つ解説!

経営基盤が盤石ではないスタートアップ企業やベンチャー企業にとって、必ずと言っていいほど直面するのが資金問題。資金問題の対策のひとつが資金調達です。

スタートアップ企業やベンチャー企業が資金調達する方法はいくつかありますが、規模の大きい企業に比べると難易度が高くなります。

本記事ではスタートアップ企業やベンチャー企業が資金調達する方法を紹介したうえで、前もって考えるべき課題について解説します。資金調達にお悩みの経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

スタートアップ企業やベンチャー企業の資金調達が重要な理由

スタートアップ企業やベンチャー企業の多くは経営基盤が整っていないため、資金の問題に直面しやすいです。ビジネスを展開するうえで必要な支出である人件費や設備費などに、十分な資金を費やせていない企業は多いでしょう。

売上も不安定な状況であれば、資金面での対策は急務となります。売上面を良好にするのは一朝一夕ではできないため、解決策として挙げられるのが資金調達です。

調達してきた資金で事業を拡大したり、何かあったときの備えにしたりすれば、不安定な時期を乗り切れるようになるでしょう。

スタートアップ企業やベンチャー企業の資金調達方法

スタートアップ企業やベンチャー企業が活用できる資金調達方法は、以下の5つです。

  • ベンチャーキャピタル
  • エンジェル投資家からの出資
  • 金融機関からの融資
  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング

ひとつずつ見ていきましょう。

ベンチャーキャピタル

スタートアップ企業・ベンチャー企業が資金調達する代表的な手段として、ベンチャーキャピタルが挙げられます。

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業への投資に興味がある投資会社に株式を発行することで資金を得る方法です。株式を購入した企業が将来的に上場すれば、出資した投資会社が大きな値上がり益を獲得できます。

ベンチャーキャピタルのメリットは、審査基準がビジネスの成長性や事業計画であるため、実績がない企業でも受けられる可能性があることです。後述する金融機関からの融資の場合は、これまでの実績や信用度を見られることから、比較的資金調達をしやすい方法と言えます。

また、返済義務がないこともベンチャーキャピタルを活用する大きなメリットです。

ただし、上場や出資元の利益が見込めないと判断されると、株式の買戻しを求められるリスクがあることは理解しておきましょう。

エンジェル投資家からの出資

ベンチャーキャピタルのような投資会社と違って、エンジェル投資家と呼ばれる個人投資家から出資を受ける方法もあります。ベンチャーキャピタル同様に返済の義務がないので、出資を受けた後の資金繰りに悩まずに済みます。

また、エンジェル投資家が個人である特性上、出資までのスピードが速いことも嬉しいポイントです。

一方で、エンジェル投資家は距離感が近くなるので、経営方針に口出しされることが多くなります。そのため、自分で経営方針を決めることにこだわりたい方は、デメリットを考慮したうえで出資を受けるか決めましょう。

金融機関からの融資

経営方針に関与されることなく資金調達したい方は、銀行や政府系の金融機関、地方自治体などからの融資を受けるのがおすすめです。

出資と違って返済義務はありますが、個人のカードローンよりも低金利なので少ない負担で返済計画を立てられます。金利の目安は日本政策金融公庫の場合で0.5~2%程度、銀行や信用金庫で2~5%程度です。

ただし、融資を受ける場合は企業の信用度や担保の有無などを基準とした審査があります。創業から間もないうちは信用度がないことから、ハードルが高い資金調達方法と言えます。

とはいえ、スタートアップ企業・ベンチャー企業向けの融資コースもあるので、まずはお近くの金融機関へ問い合わせてみるといいでしょう。

補助金・助成金

政府や自治体が実施している補助金や助成金も、資金調達手段のひとつとして把握しておきましょう。補助金や助成金を受けるためには、政府や自治体側が定めた目的に合致していると判断されなければなりません。

融資と違って返済義務がないメリットはあるものの、受給までに半年~1年の期間を要します。また、補助金を受けるために必要な支出は先払いとなるため、受給までの資金繰りの方法も考えなければなりません。

創業から間もない企業が受けられる補助金・助成金については、経済産業省のHPにて公表されているので、ぜひご参考ください。

【参考】スタートアップ支援策|経済産業省

事業で用いるソフトウェアやシステムを導入する費用を援助してくれる「IT導入補助金」については、「IT導入補助金とは?概要と対象事業者、申請方法を解説」の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

クラウドファンディング

不特定多数の個人・法人から資金を調達する方法として、クラウドファンディングがあります。クラウドファンディングは返済義務がない代わりに、資金に応じたリターンを用意し、提供しなければなりません。

近年ではクラウドファンディングから派生した「ソーシャルレンディング」と呼ばれる、出資額に応じて金銭的な見返りを提供する形式も、主流になりつつあります。

インターネット上で募ることになるため、知名度が高く人脈がある人であれば資金調達のハードルは低くなります。しかし、クラウドファンディングを打ち出してもまったく集められない事例は多いので、失敗したときに備えて別の方法も考えておきましょう。

スタートアップ企業やベンチャー企業が資金調達をする前にやるべきこと

スタートアップ企業やベンチャー企業が資金調達する前に、以下2つのことをやっておきましょう。

  • 目的と目標額を明確にする
  • 各資金調達方法のメリットとデメリットを理解する

自分に適した方法で資金調達ができるようになります。

目的と目標額を明確にする

資金調達を行う際は、目的と目標額によって手段を選ぶ必要があります。まずは何のために、いくら必要なのかを明確にしましょう。

とくに金融機関やベンチャーキャピタルは財務のプロであるため、融資および出資を受けた資金の使い道を厳しくチェックされます。

資金を調達する目的を明確にしておけば、有用に活用できることを審査の場でアピールしやすくなるでしょう。

各資金調達方法のメリットとデメリットを理解する

資金調達方法を選ぶ際は、それぞれのメリットとデメリットを理解しましょう。資金を調達して終わりではなく、その後にどうするかが非常に大切です。

例えば融資は低金利とは言え、借入額よりも多く返済しなければならないため、その後の資金繰りのことを考える必要があります。

メリットとデメリットを理解しなければ、資金調達をした後に大変なことになります。

スタートアップ企業やベンチャー企業が資金調達をする際に直面する課題

スタートアップ企業やベンチャー企業が資金調達をする場合、以下の課題に直面することが考えられます。

  • 融資の審査に通りづらい
  • 融資を受ける場合は返済しなければならない
  • 資金を調達するまでに時間を要する
  • 出資者から経営介入されることがある

ひとつずつ見ていきましょう。

融資の審査に通りづらい

金融機関から融資を受ける場合、信用度や実績などを基準に審査されるため、ベンチャー企業やスタートアップ企業だと通過しづらいことが挙げられます。とくに創業から間もない内は信用実績が低いため、なおさらハードルは上がるでしょう。

どうしても審査に通過しない場合は、創業時を対象とした融資を中心に申し込んでみてください。また、信用実績よりも将来性やビジョンを重視してくれるベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資も、おすすめの選択肢です。

融資を受ける場合は返済しなければならない

融資を受ける場合は原則として、利息を付けて返済しなければならないので、計画性が求められます。先述した通り、日本政策金融公庫から借り入れた場合は0.5~2%程度、銀行や信用金庫で2~5%程度の金利がかかります。

個人でも利用できるカードローンよりは明らかに低金利ですが、それでも融資額が大きくなるほど返済に追われて、資金が回らなくなることは十分にあり得る話です。

融資を受けた後の資金繰りで困ることがないように、借入額と返済計画をあらかじめ立てたうえで審査に申し込みましょう。

資金を調達するまでに時間を要する

資金調達はいずれの方法でも、時間を要することは理解しておきましょう。

例えば、金融機関からの融資では審査があるので、申込みから1~2ヶ月ほどかかります。また、補助金・助成金の場合は半年以上を要するうえに必要な支出に対して後払いとなるので、受給するまでの資金を別途確保しなければなりません。

つまり、余裕がなくなった段階で資金調達を検討していると、資金を確保する前に倒産してしまうことも十分に考えられます。万が一が起きたときを想定して、常日頃から資金調達の方法についてアンテナを張り巡らせておくといいでしょう。

出資者から経営介入されることがある

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資を受けた場合、出資者から経営介入される場合があることも把握しておかなければなりません。経営介入されると事業判断に制約が付くうえに、成果を上げることに対してプレッシャーをかけられます。

とはいえ、経営介入してくる出資者によっては的確なアドバイスを受けられ、事業の発展に繋がる可能性もあります。そのため、経営介入されることは一概に悪いことではありません。

出資を受けるのであれば、あなたにとってもプラスになりそうな出資者および投資会社を選ぶといいでしょう。

まとめ

スタートアップ企業やベンチャー企業は財務的に不安定であるため、乗り切るための手段として資金調達方法を知っておくべきです。資金調達の手段にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、押さえておく必要があります。

たとえば、出資を受ける場合は返済義務がないものの、投資家からの経営介入があります。また、融資を受ける場合は利息を付けての返済義務が生じることを、理解しなければなりません。

資金調達の目的と希望額を明確にしておけば、自ずと選ぶべき方法が見えてくるでしょう。資金調達に成功すれば事業の拡大に繋げられるので、ぜひ取り組んでみてください。



Comments