高校生の時に初めてパソコンに触れ、その魅力の虜になったという井原海翔(いはら・かいと)さん。大学の仲間と『鳥人間コンテスト』に参加した経験から、素材としてのカーボンの可能性と面白さに気づき、いつかはPCのボディに使うカーボン素材の研究もしてみたいという大学生です。
そんなエンジニア気質の井原さんは、筋金入りのLenovoファン。今回は「これからも一生Lenovoオタクでいると思います」という若者に、Lenovoの製品の魅力や特徴、面白さなどについて、熱く語っていただきました。
いちどLenovoの7段キーボードを使ってしまうと、もう離れられなくなりますね
──本日は、熱狂的なLenovoファンだという井原さんにお時間を頂きまして、その魅力についてお話を伺いたいと思います。現在は大学4年生とのことですが、具体的にどんなことを学ばれているのでしょうか。
「機械工学を専攻しています。実はこれから本格的にカーボンについて学んでいこうかなと考えているところでして、この後も大学院に残り、学んだ研究内容を仕事に活かしていきたいんです」
──カーボンというと、X1Carbonの筐体に使われている素材のことでしょうか。
「そうですね。そもそもカーボンにハマったのは、もともと人力飛行機をやっていたことが影響していると思います。大学の仲間と、鳥人間コンテストにエントリーしたことがあるんです。人力の飛行機を作るにあたって、カーボンパイプを特注で作る必要があり、そのときにどういうふうにカーボンを織り込むと強度が上がるのか、どういう長さで設計するのかなど、企業と連携して素材を調達する役目をサークルで担っていたんです。カーボンは軽くて強度が高く、しなりにくい素材で、人力飛行機に最適な素材。そこで、さまざまな新素材の発表会に行ったりして学んでいるうちに、どんどん興味が湧いていって。その過程でカーボンの奥深さを知りました」
──すごいですね! ちなみに鳥人間コンテストの結果はどうだったのでしょうか。
「台風の大荒れの日の出場で、羽が折れてしまい、残念ながら棄権という形になってしまいました。私が出場したのは19年だったんですけど、その大会に使ったカーボンが7年前のもので、劣化が目立っていたんです。金属も劣化しますが、カーボンも劣化するんですよね。特に経年で陽の光に当たることで駄目になりやすいので、大会のあとに荷重をかけてみるとか、いろいろ検証した結果、やっぱり強度が落ちていたことがわかりました」
──そうした失敗の経験からもカーボンの魅力に惹かれていったんですね。ところで、もともとPC自体が好きになるきっかけは何だったのでしょうか。
「父がPCを自作するような人だったので、だいたい家族で1人1台ずつPCを持っている家庭でした。それもあって、高校生の頃に当時一番安いモデルのPCを中古で手に入れて、すぐ改造して使い始めました」
──しかし、井原さんのように、コンピュータの世界が好きでも、ソフトウェアやネットに行くのではなくて、筐体とかハードウェアそのものに夢中になるタイプは珍しいのでは?
「そうかもしれません。機械工学が専攻なのですが、これが4力(材料力学・熱力学・流体力学・機械力学)をベースに学んでいく学問なので、いつもそういう視点でモノを見ている感じです。たとえば、筐体全体でどのあたりに熱がこもるのかを……みたいなことを意識することが多いです」
──LenovoのPCの魅力に気づいたタイミングは?
「最初の中古PCを買ったあとに、そこに組み込むパーツが欲しくて中古のPCをいろいろと買うんですけど、パーツを取り出すためにそれをすべて完全にバラバラにするわけです。そういう作業をしていくなかで、ThinkPadでは、メモリ、バッテリ、ストレージなども“交換するのが前提”になって設計されていることに気づいたんです。これは面白いなと」
──Lenovoには、いつの時代も変わらない無骨さがありますよね。
「例えばMacも外見ではいつの時代の製品かはわからないような普遍性がありますけど、それをWindowsで再現してくれているのがLenovoだと思います。キーボードが使いやすいのもいいですし、キーそのものの(押したときの)ストロークが深いんです。私はよくブログを書くのですが、いちどLenovoの7段キーボードを使ってしまうと、もう離れられなくなりますね(笑)。キーの配置に慣れ親しんでいることもありますが、トラックポイントで手を動かさなくてもマウスポインタを操作できるのも魅力ですね」
──Lenovoのキーボードの中央にある、いわゆる「赤ポチ」は有名ですよね。
「使い方がわからないという方もいるようなので、もったいないなと思いますけどね(笑)。これで一時期はタップも出来ましたから。また、LenovoのPCには、その時代に合ったインターフェースが必ず付いているっていうのもありがたいです。無線LANが始まったらそれを搭載するし、Face IDが始まったらやっぱり顔認証機能を載せてくるという、時代の追従性にも秀でていると思います」
──さらに、Lenovoといえば「壊れにくい」という定評があります。カーボン素材について学ばれている井原さんから見て、強度という観点からはどう思われますか。
「強度というのは、一見しただけではわからないんですよね。でもLenovoの場合、PCのモニタを閉じても液晶にキーボードの跡があまり残らないし、もちろん製品そのものに頑強なイメージはあります」
不自由さをまったく感じさせないのがThinkPadだと思う
──今日はお気に入りのPC4台をご持参頂きました。その機種名と、気に入っている点についてお聞かせください。
「まずは、ThinkPad 240Xです。2000年ぐらいに発売したもので、初めて買ったPCですね。中身は中古パーツやリファービッシュ品などに、もうほぼすべて入れ替えていますね。それでもわりと綺麗に長く使っていると思います」
▲初めて購入したPCで、思い入れも強いThinkPad 240X
「20歳前後の人たちだと、やっぱりノートPCが1人1台必ず必要になっている時代ですし、自分の相棒になる1台を選ぶ必要があると思うんです。それこそ若い人であれば、企業が使いやすいPCを選ぶのとは意味が違いますよね。デザインがカッコいいとか、長く使えるとか、自分にとっての実用性が明確なほうがいいですよね」
──2台目のこれは……かなりの曲者ですね。
「IBMのThinkPad TransNoteという名称なんです。このモデルは、後にも先にもこれしかないんですよね(笑)。外側の質感も良くて、キーボードも角張ったデザイン。ディスプレイの横に、まだ当時珍しかったタッチパネルがあるんです」
▲なんと手書きをするためのノートがついている ThinkPad TransNote
「これはここにペンで書いたものを入力して、すぐPDFにできる。右側で書いたものにコイルが反応し、磁気センサーで読み取って直接入力できるんです。今ほどペンの感度は良くなかったんですが、ここに何かを書くと、ハードウェアがへこんで電源が入るようになっているのも面白いんです」
──これは知られざる名機ですね。
「もっと評判になっても良かった名機ですよね。メモを書きながらプレゼンテーションして、そのままデータを転送するみたいなことができますから。あとは、このペンの替え芯も4本ぐらい収納できるし、左利きの人にもちゃんと対応した設計なんです」
──開発した人の気合が伝わるような機種ですよね。さて、次のPCは?
「ThinkPad W700dsという、ざっくり10年くらい前のものです。当時はこのPCで、80万から90万円ぐらいだったとのことで、正直、ここにないものはないくらい、すべての機能が搭載されたPCで、モンスターマシンとも言われました。当時のほぼ最高のスペックがつまっています!」
▲当時として最高のスペックを誇る ThinkPad W700ds
「ただ、仕事や授業などで使うにしてはデカすぎて、いま持っててもスタバでドヤれるシロモノではないかもしれませんね(笑)。やっぱり、サブディスプレイの存在が大きくて、PDFの資料を見ながらとか、コロナでオンライン授業を受ける際などにもこのPCを使ってました。たとえば、右側のサブディスプレイで授業のZoom画面を見て、メインのディスプレイでは自分の課題を表示して……みたいな使い方ですね。ストレージを2つ載せたりすると、CADなどを使うときにも便利ですよね」
──存在感がすごいですよね。とくによく使う機能はどんなものですか。
「私は色やディスプレイ感度にこだわりたいので、カラーキャリブレーターでしょうか。自動でカラーキャリブレーションしてくれて、常に正しい色でこのメインのディスプレイを使えるという機能があるのは素晴らしいです」
「あと、コンパクトフラッシュ端子も装備しているので、3Dをやりたい人やグラフィックを使う人は直接編集をして、プレビューを右で見ながら整理したりもできるんです。その意味では本当に“全部のせ”のマシンですよね。モジュラージャック、USB、Blu-rayドライブ、SDカードやIEEE1394端子もあるし、テンキーも付いてカメラもあるし、本当にすべてが揃っているマシンだと思います」
──機能性に富んだ一台ですね。では、ラストのお気に入りについてもお教えください。
「ThinkPad X1 Carbon 5thです。持ち歩いて使うために買った端末で、スペックと綺麗なディスプレイが良くて。なんといっても“軽いのは正義”ですよね。もう買って6年くらい経つんですけど、こうやってディスプレイが180度開くのが便利です。例えばMacBookだと、熱を排出する排気口の関係で、これができないんです。そして、タッチパッドが大きいのも画期的。ファンクションキーも4個ずつ開いていて、デスクトップのキーボードが再現されていて、距離感が掴みやすいんです」
──人間工学に基づいて設計されているんですね。
「ノートPCだからって不自由をまったく感じさせないのがThinkPadだと思うんです。例えばタッチパッドが使いにくいからと、マウスを使っている人がいますよね。でもあれは、あまりスマートじゃないですよね。この機種は、ボディが薄くなったのに、熱を感じないのも素晴らしい。手が蒸れることもないし、熱排気が本当によくできているなと感じます」
▲井原さんの現在の愛機である ThinkPad X1 Carbon5
「さらに、キーボードが別パーツじゃないので、打ったときの違和感がない。キーボードが沈んだり、たわんだりすることが起こらないので、とても打ちやすいんです。閉じたときのデザインも、ちょっと流線型になっていて、手に馴染んだ感じがすごくいい。グリップ感があるので落としてしまう危険も少ないし、持ち上げるときに指がフックする感覚があります」
──たしかに、この触り心地はいいですね。ちなみに、井原さんが次に買いたいPCは?
「いま使っているものの後継機で、ThinkPad X1 Carbonの第10世代ですね。ほとんどデザインは変わっていないんですけど、電源ボタンのデザインの配置や指紋認証の位置については変更されてます。とくに指紋認証は本体の端っこに来たので、見失わなくなった。そもそも、自分の体に馴染むようなPCを使いたいので、いま買うのであればそういったものがほしいですね」
Lenovoのデザインは廃れない
──あらためて、Lenovo製品の魅力とは何でしょうか。
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