BSCとLenovo、AIを医療に導入し失明予防診断を向上

AIの医療導入が診断精度を向上し、網膜疾患の早期発見に貢献

バルセロナ・スーパーコンピューティング・センター (BSC) の研究者チームは、機械学習やAIを医療に導入することで診断の質を向上し、これまで以上に迅速かつ簡単に目の病気のモデルを作成することで、未来の眼科医の診断や早期発見を劇的に変えようとしています。

眼科医の診察室に行くと、たいていの場合照明を落として、目薬を点眼して、視力表を見るといったおなじみの手順が待っています。目は重要な役割を果たしており、研究によると私たちが知覚する情報の少なくとも80パーセントは視覚からであると推定されています。失明するとその分の情報はすべて失われ、その人の世界は永遠に変わってしまいます。

しかし、視力障害の原因となる網膜疾患の検出について言えば、一般的な対面式散瞳検査の精度は驚くほど低いものです。世界中の視力障害者数は2億5,300万人で、これは20人に1人近い割合です。早期発見は大きな課題ですが、スクリーニングプロセスにおける技術的なアップグレードはなかなか進んでいないのが現状のようです。幸いなことに、スペインのあるチームがヨーロッパ最大級のスーパーコンピュータの力を借りて、AIを予防医療機器に活用しながらこのようなアップグレードに取り組もうとしています。

患者にとって、何よりも重要なのはスピードです。世界では2億5千万人以上の人々が視力障害を抱えていますが、そのうち80パーセントのケースは予防可能だと言われています。早期に介入すれば、重度の視力低下が発症する可能性は半減するのです。


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バルセロナ・スーパーコンピューティング・センター (BSC) の研究グループは、LenovoのハイパフォーマンスコンピューティングリソースによりAIを活用して予防医学に役立て、緑内障から黄斑変性症まで、さまざまなタイプの網膜疾患を迅速に検出するための機械学習モデルを構築・訓練しています。半年間かけて行っていた機械学習プロセスを10分以内で済むものに変え、眼科医が網膜疾患の兆候をこれまで以上に早くキャッチできるようになる可能性を秘め、緑内障などの早期発見を可能にして失明のリスクを軽減します。

BSCのチームを率いる博士研究員のダリオ・ガルシア=ガスーラ博士 (Dr. Dario Garcia-Gasulla) は次のように述べています。「異なるネットワークアーキテクチャやハイパーパラメータの設定を半年間かけて試す必要もなく、CPUを使って10分以内、GPUを使えば3分以内に、網膜の病理を検出する機械学習モデルのパフォーマンスを設計・訓練・検証することができます」

Lenovoのテクノロジーを利用することで、BSCは使いやすいAIを生み出し、素晴らしい結果をもたらしました

— Lenovo、ディレクター、パトリック・モークリー

このモデルは、同センターのハイパフォーマンスコンピューティングクラスタ「MareNostrum 4」で実行されました。インテル® Xeon® Platinumプロセッサを搭載した3,456台のLenovo ThinkSystem SD530ノードで構成されるMareNostrum 4のベンチマークは11.1 PFLOPSで、1秒間に1京1,100兆回の基本計算が可能であることを示す計算速度の指標となっています。

スーパーコンピューティングの能力をしても、網膜の問題をスクリーニングするのは大変な作業です。視覚障害の原因は多岐にわたり、少し例を挙げても、糖尿病の合併症から生じる血管障害である糖尿病性網膜症、視神経の障害である緑内障、目の中のほくろのようなものが成長する母斑、網膜がすり減ることで視野の中央部が見えなくなる黄斑変性症などがあります。また、利用可能なデータが限られているため、AIニューラルネットワークを研究する上でこれらの異なる網膜疾患を区別するためにネットワークを訓練するのは困難です。

「簡単に使えるAIがあれば予防医学への大いなる貢献が可能になり、これまで以上に早期に視力の問題を発見、治療できるようになります。」

「利用可能なデータセットが限られている病理学的な疾患、例えば画像が3,000枚もないような疾患では、信頼性の高いディープニューラルネットワークをゼロから訓練することは不可能かもしれません」とガルシア=ガスーラ博士は説明しています。

そこでチームは、より少ないデータでより速く新しいモデルを構築するためのプロセスである転移学習に着目しました。

「これなら、あらゆる種類の網膜病理のためにディープネットを構築して訓練するのではなく、『ベース』モデルを再利用して第2の病理を検出するように訓練し、次に第3のモデルを訓練して別の種類の病理を検出するように訓練することができます。これにより新しいモデルを非常に迅速かつ簡単に作成することができるのです」

このシステムを使用すれば、機械学習モデルを作成したい網膜病理を選択し、あらかじめ訓練されたニューラルネットワークを特徴抽出装置として使用するだけで、すぐ実行に移すことができます。

Lenovoのデータセンターグループのパトリック・モークリー (Patrick Moakley) HPC & AIマーケティング担当ディレクターにとって、このプロジェクトは、AIと機械学習がシンプルで直感的なものになる未来への窓です。

「Lenovoのテクノロジーを利用することで、BSCは使いやすいAIを生み出し、素晴らしい結果をもたらしました」とモークリー氏は述べています。

簡単に使えるAIがあれば予防医学への大いなる貢献が可能になり、これまで以上に早期に視力の問題を発見、治療できるようになります。それは、予防可能な症例が簡単に予防される世界に一歩近づくということなのです。

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